「トヨタ スプリンター」

その車1
E80 系スプリンターセダンは 1983 年カローラ/スプリンター初の FF 車として登場しました。この時、おなじみの 86/85 は FR のままだったのは有名なところです。この 80 系ではファミリアハッチバックのヒットもあり、いわゆる2ボックスタイプのカローラ FX が追加されますが、スプリンターの名を冠するのはセダンと5ドアハッチバックのみでした

キャッチコピー「SEXY スプリンター」

スプリンターは以前よりカローラより少し上の位置づけでしたが、この E80 系からデザイン的にも差別されており、セダンではCピラーに小窓がある、いわゆる6ライトとなっています。また、スラントしたボンネット先端のヘッドライトをカローラよりわずかに薄くして、より低さを強調しています。さらに、ボンネット上にプレスラインが無い、ポリカーボネートのグリルカバー、より深く強調されたサイドラインなどオーソドックスなカローラとは明らかに異なる「凝った」デザインがなされています。これらのハッとさせるデザイン要素が「SEXY」とした由縁でしょう。古谷一行も言っていたので間違いありません(笑)

この車のスタイリングは一説によればジュジャーロによるものと言われています。ジュジャーロは同時期に色々なデザイン要素をチャレンジしており、いすゞ・ピアッツァのコンセプトカーも含む「アッソ」シリーズは大まかな形は同じで、面や角の使い方を変えています。ピアッツァは最もソフトな面および角を使った一群に属します。この一群に5ドアハッチバックのコンセプトカー「メドゥーサ」があり、これこそ「SEXY スプリンター」の元ネタだろうとも言われていました。まあ、そう言われれば、ピアッツァの4ドア版に見えなくもないな、と。そう思うとかなりラウンドしたテールエンドはこの一群に共通するテーマであるのかもしれません。そして、これを元に「アク」を抜いて、当時の常識的な日本車デザインに仕立てられたのがカローラであろう、と
この後に登場する L30 型カローラII は元ネタがジュジャーロの「ガビアーノ」らしく(特に「リトラ」)、ボンネット上面がフラットです。固定ヘッドライトのタイプはサイドラインの位置、ヘッドライト位置の低さ等、並べてみるとどことなくスプリンターと似ている気がします。
 ただ、当時の記事(カースタイリング)によればトヨタの担当者はジュジャーロの関与を完全否定しています。曰く、「そんなことを言ったらジュジャーロ氏が気を悪くしますよ」とのことだが、正直、意味が分からない発言です。ジュジャーロより悪いスタイリングだとでも言いたいのでしょうか(謙遜して)?発表時なのになんと自信の無いことでしょう...

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