事故顛末記−事故後の処理4

示談交渉の第一回目。


第一回目の示談斡旋交渉は6月最後の週に行われた。
場所は霞ヶ関の弁護士会館14F日弁連交通事故相談センター

ここでは交通事故に詳しい弁護士の方と、お互いの主張を出し合い、示談の条件を相談しあう場所である。
今回、担当された弁護士の方は、フェラーリなどの特殊な車にも詳しいと言うことで選ばれている。

朝、10時に待合室に行くと、すでに相手の保険屋さんが待ってられた。
険しい顔である。

さて、私の方から事務員に呼ばれ、相談室に通された。そこで、これまで何度も頭の中で反芻してきた事故の状況を図を交えて説明した。
事故に至るまでの状況。
事故直後のこと。
私の目撃証言以前に、総合すると相手はバスレーンであった推論できること。
安全だと思ったから、前の車に続いて追い抜いたこと。
相手はレーンチェンジの合図を出していなかったこと。
などなど。

約15分ぐらいであろうか。
あまり覚えていない。

次に相手の保険屋が呼ばれ、一通りの説明が終わった後、再度私が呼ばれた。
相手方の主張はとにかく自分には非はない、私の方が当たってきた、とこれまでと同様であった。

弁護士の方の意見は、双方の主張がまったくかみ合っていないので、やはりここでの解決は難しいであろうと言うことであった。

示談斡旋センターも簡易裁判所の調停も、(先に述べたように)強制力はない。
仮に弁護士の方なり、調停員が「どちらかが悪い」と言ったところで、無視することもできるのである。
強制力を持つのは交通事故紛争処理センターと裁判であろうが、前者は待ち時間は半年の上、やはり解決が難しいケース。裁判を起こすこともできるが、賠償額が少額過ぎて引き受けてくれる弁護士はいない(*1)だろうとのこと。また、弁護士なしでも裁判は可能なのだが、相手は当然会社お抱えの弁護士を出してくるだろうから、素人が勝つことは難しいだろう、とのこと。

そこで、お互いの主張がかみ合わないずこのままの主張で解決しないより、5分5分ぐらいで決着してはどうかと示唆された。

もちろん、考え込みます。

そこで弁護士さんは私と交代にもう一度相手の保険屋を呼び、そのような解決案を提示した。

再再度、私が呼ばれると弁護士の方はこう述べた。

「相手の保険屋さんは5分5分はありませんと言ってます。」
「免責額の10万円を払う代わりにそちらの保険を使うと言うことでどうでしょう?」

一瞬どういうことだかわからなかったが、こういうことだ。

私は保険掛け金を少なくするため、免責額を最大の10万円にしている。
こちらの損害額は30万円超であるため、普通に保険を使えば免責額を払った上、次の年からの掛け金はアップする。
こちらは悪くないと言っているのだから大損である。

ただ、過失割合は私の方が低くなるだろう。

それに対し、弁護士の方の示談案は、過失割合は私の方が悪くなるかもしれないが、免責額を払ってもらうことで実質的な損害そのものは相殺しようと言うものである。
相手の保険屋さんはそれでOKらしい。

私はしばし考えた末、その案を飲むことにした。

このまま長引いても恐らく解決しないし、私自身仕事に影響が増えるだろう。
裁判で完全に負けることはないにしろ、弁護士費用(雇えたとして)も含めればかなりの損害になるはずだ。
すっきりさせて早く車に乗りたいし、名より実を取ることにした。


*1:こちらの見積額は板金だけで低く見積もって30万円。弁護士の初動費用が20万円ぐらいらしい。勝ったとしても慰謝料として弁護士費用が取れるか難しく、弁護士にとってうまみのない仕事なのだろう。

「事故後の処理5」につづく