クーペとの違い

Ferrari Mondialは元々クーペボディからスタート(1981年)しており、カブリオレはデビューから2年後(1983年)に追加されました。

オリジナルモンディアルクーペは4人乗りということをしっかり設計に盛り込んだ車で、これはその前身となるDino (Ferrari) 308GT4(唯一のベルトーネボディ)の反省とおそらく輸出ターゲットとなる米国からのフィードバックによって、居住性の向上を意図してモデルチェンジされたものと思われます。
 ボディの全幅はさほど変わりないもののホイールベースが300 mmほど延長されています。そして一部で不評を買うこととなる後席ヘッドスペースの増大がなされます。さすがに初代フェアレディZ 2by2(*1)の様に格好悪くないですが、屋根の長さはベースとなった308GTBよりかなり長く、スリークなクーペのようなフォルムは失われています(*2)。

そんな一部不評を払拭したのがカブリオレです。
 カブリオレは後席ヘッドレストを廃し、ヘッドスペースが減少したものの、ルーフからなだらかにCピラーがリアフェンダーに降りており、クーペらしさが増しています。
 限られたホイールベースに4座席とエンジンを押し込むため、限りなく前進したキャビンに、まあ実用的なトラックを備え、トヨタ・コロナ程度の全長に比して全高は20 cm近く低いため、プロポーション的にはピックアップトラックの様でもありますが、格好良さはクーペより上じゃないかと思います。

もっとも、クーペも少し上からの角度から見るとずいぶん格好良く見えます。ほぼ真横の角度から撮られたフェラーリのプレス写真は立てられたAピラーとルーフとCピラーの折れ曲がりが強調されており、それが問題だったのでは?

ある雑誌にはカブリオレは「誇り高いオーナーには我慢ならなかったに違いない曖昧なルーフライン」が消えたなんて評されたりしてます。
 そりゃ言い過ぎだって思いますけどね、私はクーペも好きですし。


*1:元々2シーターだったZに後席を設けたため、ルーフが延び、
かつハッチバックと「角」をつけて曲げられた。

*2:今思えば、初代ホンダ・クイントインテグラと同じルーフラインですね。
ホンダはピニンファリーナと縁が深いですし。


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